思えば高校生の頃、夢野久作のドグラマグラを読んでから、終わりが始まりに戻って繰り返されるという迷宮の魅力にとり憑かれてしまった。最初と最後が同じ瞬間なんて突き放した書き方をしていたけど、こんな音楽をつくりたいと思ったものだ。
女々しい力強さがあったニーチェの永劫回帰も同様で、繰り返しは立ちはだかる難問であると同時に何故かロマンティックな本質を孕んでいる。たとえばアインシュタインの方程式が物理学に対してそうだったように、人間を考える時のマスターキーになるのかもなんて考えると、こっちの頭までくるくるして目眩がしてくる。
ある時フロイトが好きな私が雑誌のユング特集をしかめ面で見ていると目を引くイラストがあった。蛇が自分の尾を噛んで円形になっている。「ウロボロス」という古今東西民族共通の何かの象徴で本の中では混沌といっていた。頭と尾、始まりと終わり、それが永遠を示す円形で表現されている。
私は、永劫回帰の様なドグラマグラみたいな名前の「ウロボロス」が好きだっ! |